【5分で理解】ポーターのダイヤモンドモデルとは

ビジネス

 ある特定の国の特定の産業が国際的に競争力を持つか持たないかを説明したポーターのモデル。外部競争環境の分析に使われます。以下4つの条件と2つの役割に着目し、国の競争優位を説明します。

  • 事業戦略および競争環境
  • 要因条件
  • 需要条件
  • 関連、支援産業

以下1つづつ見ていきましょう。

1.事業戦略および競争環境:競争力

 ある国の企業の競争力は、どんな戦略を策定し戦略を構造化しているかによって決まります。また競争力は、同じ業界内似てどの程度の競争があるかによっても決まります。企業がどのように構成され、目標を設定するかは国によって異なり、社会的・経済的・法的要因に寄りますし、激しい競争はイノベーションを活発にします。例えばドイツや日本の自動車業界に目を向けると、メルセデスやBMWにフォルクスワーゲン、トヨタ、日産、ホンダ、スバル等、プレーヤー同士の激しい国内競争がイノベーションを巻き起こし、今日のようなグローバル企業に発展、国際的な成功を成し遂げさせたということが出来ます。結果、これらの企業はグローバルに競争することが出来ます。

2.要因条件:ヒト・モノ・カネといった資源全般

要因条件(Factor Conditions)とは、人的資源・資本・天然資源・インフラストラクチャー・知識等を差し、基本条件(Basic factor)と高度条件(Advanced factor)の2種類があります。基本条件は、天然資源と熟練してない労働力(Unskilled Labor)、高度条件は熟練労働力(Skilled Labor)、専門知識、資源が主です。ポーターによると、この高度条件が競争力を生み出します。例えば、MITは非常に高いITスキルを持つ卒業生を輩出し、ソフトウェアの競争優位性を米国にもたらします。または、ベンチャーキャピタルの大規模資金がテクノロジースタートアップに投資されており、これにより、米国(シリコンバレー)はこの業界での競争上の優位性がさらに高まります。

3.需要条件:国内需要と顧客からの厳しい要求

需要条件の主な条件は国内需要です。競争優位には、自国の強い需要が必要不可欠です。国内需要が強ければ強いほど、企業のイノベーションに対する圧は高まり、より良い製品やサービスを作りだす要素となることと、企業はより成長を成し遂げることが出来ます。いわば、顧客からの厳しい要求が、企業の成長・革新につながるということです。これらの対応を通じ、その企業はグローバルにも顧客の将来ニーズに答えることが出来るようになっていきます。

4.関連・支援産業:競争優位なサプライヤーと組む

その産業の成功は、関連するまたは支援産業やサプライヤーの成功と関連しています。国際的に競争力のあるサプライヤーの存在は、そのサプライヤーと取引のある企業に、費用対効果の面と迅速な情報共有の面から優位性を持たせます。例えば、シーメンスやSAPなどのITサプライヤ。これらの企業自体が世界的な競争上の優位性を持っているので、これらの企業と協力することにより、ある産業が国内の競争上の優位性を高めることがでるわけです。優れたサービス、エンジニアリング等だけでなく、優れたITを持つことで、潜在的な競合他社の参入基準を引き上げることが出来ます。

5.「政府」と「機会」の役割

 ポーターは本モデルにおいて「政府」および「機会」の役割について言及しています。

(1)政府の役割:競争力の創出では無く競争力を促す

 ポーターは政府を、その産業にとって必要不可欠な支援者とは考えておらず、また競争力のある産業を創り出すことは出来ない、それが出来うるのは企業だけと言っています。しかし、企業がより高いレベルの競争力をつけらえるように促し、推進する必要が政府にはあるとしています。インフラ整備、教育システムの整備、独占禁止法等の施行で企業の競争力を促すといったことです。

(2)機会の役割:コントロール出来ない事象にも目を配る

 機会とは、産業・企業の影響が及ばない範囲のことを差し、国際的な競争力には重要な要素の一つになります。自然災害や戦争等、偶然生じた事象は、いくつかの産業・企業にとっては有利だったり不利だったりします。例えば、2019年末から流行りだした新型コロナウイルスの流行により、日本での外国人観光客の数が激減し、飲食業界やホテル業界が打撃を受けたのは記憶に新しいことで、このような機会は、産業や企業のコントロールが及ばない事例です。企業は、このような市場変化にあわせて意思決定を柔軟に変え、機会の役割に注視しておく必要があります。

6.まとめ

 4つの条件(事業戦略および競争環境、要因条件、需要条件、関連・支援産業)と2つの役割(政府と機会)から、ある特定の国の特定の産業が競争力を持つか持たないかを説明したポーターのダイヤモンドモデルを見てきました。

 このモデルと似たような学説(企業が海外進出する際にきをつけるべき3条件)に、ジョン・H・ダニングの提唱した「OLIフレームワーク」というものがありますので別途記事にしたいと思います。

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