「ここから手を付ける」組織改革はどこから始める?レヴィンの3段階組織変革プロセス

ビジネス

 現代はVUCAワールドと言われており、変化が激しい時代です。そんな中でも、変革する・変わることので出来る組織がこの先生き残っていくと思われます。変革する企業が時代の変化の中で上手く成長するには、時に既存の組織文化を破壊し新しい組織文化を構築することが求められるかもしれません。
 一方、大胆な組織変革には社内の混乱・反発を招き収拾がつかなくなるリスクも付あります。このようなリスクを回避するため、一定のプロセスに則って変革を進めることが重要です。

 では、具体的にどのようなプロセスが必要となるのか、今回はレヴィンが提唱した組織変革プロセスについて紹介します。

レヴィンの組織変革プロセス

 変革には従来の方法や価値観を壊し(解凍)、それらを変化させ(変革)、新たな方法や価値観を構築する(再凍結)、という3段階のプロセスが一般的です。

フェーズ1:解凍

組織を変革するために、レヴィンはまず「今までの組織文化が通用しない」「変えていかなければ会社の経営状態に悪影響を及ぼす」といった現状認識と危機感を社内で共有した上で、「新しい考え方、やり方によって改善していく」といった雰囲気を醸成することを提唱しました。既存の価値観や伝統、方法論などの組織文化を「解凍」し、新たな組織文化への変化に向けての準備を行うということです。

ここで注意するべきとしているのは、こうした変革の「推進力」に対して、現状を維持しようとする「抑止力」が必ず働くということです。今までの価値観を変えるといった変化の「推進力」が大きければ大きいほど、組織内に不安が広がり、その「抑止力」も大きくなります。

このため、経営者は、社員に変化の必要性を理解させると同時に、その変化に対する不安を和らげながら変革を進めてなければならない、とレヴィンは語っています。

フェーズ2:変革

フェーズ1の「解凍」によって変革の必要性などが社内で共有されても、それが認識や議論だけで終わってしまっては「結局何も変わらなかった」といった無力感により、却って企業の成長を阻害してしまう危険性があります。そのため、「解凍」の状況を見極めつつ、早めに次のプロセスに移行する必要がある、とレヴィンは捉えました。

フェーズ2は、新しい考え方、やり方を「学習する」プロセスです。変革の必要性に対し社員個々がどのような役割を果たすのか、果たしていくべきなのかを、社内学習や人材育成プログラムなどにより学習することで、組織内の考え方や行動が少しずつ変わっていくことを想定していると思われます。

フェーズ3:再凍結

さらにレヴィンは、フェーズ2で学習したものを長期間維持するため、「再凍結」として今度は定着化・慣習化させることを主張しました。新しいやり方を単に継続していくことで根付く部分もありますが、指示されたからやるのではなく、新しいやり方で成功事例が出てくることで、手応えを感じることが重要である、というものです。

それにより従業員が納得して行動するため、成功事例が増え、「成功の方程式」が見えてくる、というものです。後は、「成功の方程式」を組織内に広め定着させ、新たな組織文化を定着させる、としています。

変革を進める上での留意点とは?

レヴィンは研究者の立場から、変革に向けたプロセスをこのように整理しました。では組織のリーダーとして、現実の中で変革を実行に移す際に心がけるべき点は何があるのでしょうか。

たとえば、組織の中で認識されているルールの変更によって変革を進めようとするケースです。こうした際、組織の人数規模や変革がゴールとする地点と現状のギャップなどに起因して、ロスが起きてしまう場合もあります。そうした際に必要とされる手順について、レヴィンの三段階組織変革プロセスを用いた実例を交えながら考えていきます。

レヴィンの三段階組織変革プロセスを基にしたコッターの8段階プロセス

組織変革のフレームワークにはレヴィンのほかに「コッターの8段階プロセス」という有名なものがあります。コッターの8段階プロセスの内容は以下の通りです。

ステップ1:危機意識を高める

ステップ2:変革推進のための連帯チームを作る

ステップ3:ビジョンと戦略を打ち出す

ステップ4:変革のためのビジョンを周知徹底する

ステップ5:従業員の自発を促す

ステップ6:短期的成果を実現する

ステップ7:成果を活かして、更なる変革を推進する

ステップ8:新しい方法を企業文化に定着させる

コッターの8段階プロセスはレヴィンの三段階組織変革をさらに細分化したもので、解凍(ステップ1-4)→変革(ステップ5-7)→凍結(ステップ8 )と合致しています。[4]

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