【5分で理解】ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)(Herzberg’s Motivation Theory – Two Factor Theory)

人事関係

ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)とは 

  • ハーズバーグの二要因理論(動機付け衛生理論)とは、アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグ(Frederick Herzberg 1923-2000)が提唱した、職務満足・職務不満足を引き起こす要因に関する理論のこと。
  • ハーズバーグ氏は、人のモチベーションの要因を研究する中で、203名のエンジニアとアカウント(経理担当)へのインタビュー調査から、彼らが仕事に非常に満足しているときと不満を持っているときについて質問しました。その結果、従業員の仕事における満足度は、「満足」にかかわる要因(=動機付け要因)と「不満足」に関わる要因(=衛生要因)の2種類があり、この両方が満たされるとことで高いモチベーションが保たれるとしました。
  • 因みに英語だと、動機付け要因はMotivator Factors、衛生要因はHygiene Factorsといいます。
  • すなわち、仕事・職務における満足や不満足をもたらす要因はまったく別のものである、ということです。
  • 給与や対人関係、昇給や昇進など、様々な要因がモチベーションに影響するのもと思われますよね。単純に考えると、ある要因が満たされると職務への満足度が上がり、同じ要因が不足すると、今度は満足度が下がってしまう、と思うと思います。しかし、ハーズバーグの二要因理論では、満足度と不満足度に関する要因は別々のものであるとします。
  • ハーズバーグによると、仕事への満足を感じる時は、その人の関心は「仕事そのもの」に向いており、仕事への不満を感じる時は、その人の関心は自分たちの「環境」に向いているとされます。これを詳しく見ていきましょう。 

「動機付け要因」:Motivator Factors

  • 「動機付け要因」とは、仕事における「満足度」の要因を指します。具体的には、目標達成、上司・同僚からの承認、仕事そのもの、責任、昇進成長、やりがいなどで、これらが満たされると満足度を覚えるが、欠いていても不満足を引き起こすわけではないというのが、この2要因理論のポイントです。
  • 「動機付け要因」は、マズローの欲求5段階説で言うところの、「自己実現欲求」「自尊欲求」さらに「社会欲求」の一部等、高い次元の心理的欲求レベルに該当します。

「衛生要因」:Hygiene factors

  • 「衛生要因」とは、仕事における「不満足度」の要因を指します。具体的には、対人関係、給与、健康、労働条件(環境や制度)、上司の管理方式、私生活などで、これらが不足すると不満足を覚えるが、満たしているからといって満足感につながるものではないというのが、この2要因理論のポイントです。
  • 「衛生要因」は満たされて当たり前、満たされない場合は仕事を続けるのが困難になります。逆に言うと、衛生要因を満たすことが出来れば、従業員の不満を予防することが出来ます。
  • 「衛生要因」は、マズローの欲求5段階説で言うところの、「生理的欲求」「安全・安定欲求」さらに「社会欲求」の一部等、低い次元の心理的欲求レベルに該当します。

「衛生要因」は離職の原因に直結している!?  

  • 厚生労働省調査データ雇用動向調査結果」の概要から、離職理由別の離職状況を知ることができます。調査によると個人的理由による離職とされている人のうち、実際は、出産や育児、介護などが理由で離職をしている人が多いことがわかります。すなわち、個人的離職は「衛生要因(私生活)」が影響していることがわかります。
  • マズローの欲求5段階説では、高次欲求(承認欲求や自己実現)を満たすためには、先ず、より低い次元の欲求を満たす必要がありますので、先に「衛生要因」を満たすことが求められます。
  • 従業員の満足度を高めるためには、「衛生要因」を満たした上で、「動機付け要因」に関しての問題点を解消することがセオリーでしょう。

「衛生要因」をどのように満たすか?

(1)適切な賃金体系
  • 業務やレベルに見合った賃金体系による給与支払いが求められます。
  • 加えて、評価ランクに応じた昇給、ある一定上の評価の場合は昇格する等、社内でルールを決めておく方が良いでしょう。
  • 賃金に関する不満は、真っ先に解決しなければならない問題です。
(2)いきいきと健康的に働ける職場づくり
  • 業務に追われて私生活を犠牲にしているような状況が長く続くと、ワークライフバランスが崩れ、メンタルを病む可能性が高まります。
  • フレックスタイム制やテレワークの実施等、多様な働き方を積極的に取り入れ、従業員の働きやすい環境づくりが必要です。
  • フレックスタイム制や福利厚生のためのシステムの誕生は、ハーズバーグの2要因理論が大きく貢献しました。私生活を充実させることでモチベーションの向上につながり、その結果、従業員の業務効率化・成果の創出にも期待ができます。
(3)対人関係ケア
  • アドラー心理学では、人間のほとんどの悩みは対人関係としているように、対人関係の影響は非常に大きいです。職場での対人関係は、社会的欲求を満たすことと大きく影響しているからです。
  • 風通しが良く、職場で円滑なコミュニケーションを実現するには、役職に関係なく、誰もが自由に意見を言える環境が望ましいです。上司を役職付きで呼ぶのも避けた方が良いでしょう。

まとめ

  • 「衛生要因」は、従業員が快適に働くための土台です。従業員のモチベーションを上げるには、先ずは「衛生要因」を満たしたうえで、さらに「動機付け要因」も満たしていく必要があります。
  • 社員のマネジメントをする際は、「やりがいを感じてもらえるか=動機付け要因」、「待遇や環境に満足しているか=衛生要因」を常に意識する必要があり、二つの要因の満足度をあげることを考える必要があります。
  • おまけ:英語でハーズバーグの2要因理論を読んでみたい方はこちら参考まで。

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